あるところにくまちゃんとウサギちゃんが住んでいました
二人はとても仲良しでいつも
「幸せだね」
「幸せだ」
と廃人のようにつぶやいていました。
くまちゃんもウサギちゃんも生きています
生きているかぎり、おなかがすいてしまいます
くまちゃんもウサギちゃんも、まいにちの空腹を満たすために、生きていました
「幸せだね」
「幸せだ」
と盲目に口走っていました
そこへおなかをすかせたおじいさんがやって来ました。
くまちゃんとウサギちゃんはおじいさんのために食べ物を探して来る事にしました。
くまちゃんは川で抱えきれないほどの魚を獲ってきましたが、
ウサギちゃんはとうとう何も見つける事はできませんでした。
おじいさんはウサギちゃんを慰めると魚を焼くために焚き火を始めました。
おじいさんは器用に火をおこしました
くまちゃんとウサギちゃんは火を見るのは初めてでとても驚きました
「ウサギちゃん、これはなんだろう?」
「くまちゃん、これはなんだろう?」
おじいさんはおもむろに、魚を火にくべ始めました
おじいさんがなにをやっているのか、くまちゃんとウサギちゃんには想像もつきません
しばらくすると、なんともいえないかほりがあたりに漂い始めました
おもわず、よだれがたれてきてしまいます
おじいさんはこんがり焼けた魚にかぶりつきだしました
くまちゃんとウサギちゃんはおじいさんから一尾もらってたべました
「どうやら、あの赤い、ゆらゆら揺れているものに触れると、なんでも美味しくなるみたいだ」
頭のいいくまちゃんは、自慢気にそうのたまいました
そして何も差し出すものがないウサギちゃんは考えました。
「あの赤いものの中に入ったものは何でもおいしい食べ物になるみたいだ。僕があの中に飛び込んだら僕もおいしくなっておじいさんに食べてもらえるのだろうか?」
突然の豪雨が降り注ぎ見る見るうちにたき火は消えました。